2025年度理事長所信
はじめに
泉青年会議所は、1974年9月14日、全国で568番目の青年会議所として誕生し、昨年50周年を迎えました。この長い歴史を紡いできたのは、「我々こそがこの地域に橋をかける存在になるべきだ」という創始の精神です。先代はこの信念を胸に、未来を想い、目まぐるしく変化する時代の潮流を読み、地域のリーダーとして、社会課題に真摯に向き合ってきました。
その積み上げてきた実績と信頼があるからこそ、私たちは多くの人々から共感を得ながら地域に根差して運動を展開することができるのです。
本年度は51年目となり次代に向け新たな歩みを進めようとしています。しかしながら、時代が変わろうとも私たちの夢は、明るい豊かな社会を築くことです。これを実現するためには、JCの基本理念に立ち返り、誰のために何のためにJCをするのかを考え、今の社会が本当に必要としているものとは何かを問い続けなければなりません。
今こそ、青年の英知と勇気と情熱を結集させ、愛を持って行動する時です。
その行動には、無限の可能性があり、未来への希望を広げる力があります。
同じ夢を追い求める仲間と共に、明るい豊かな社会を目指して。
一歩一歩着実に歩んでいくために、未来への道を拓いていきましょう。
JC運動を最大化する次代のリーダー発掘
JC運動を最大化する次代のリーダー発掘
青年会議所は、何をなすべきなのでしょうか。それは、JCI Missionにある、青年に「リーダーシップの開発と成長の機会を提供すること」、そして、青年が「社会により良い変化をもたらす運動を起こすことができるようになること」です。
この使命を果たすためには、次代のリーダーとなる人財を発掘し、その資質を高めていくことが最も重要です。青年がリーダーシップを発揮し、地域に貢献できる環境を整えることで、地域全体の成長と発展に向けてJC運動を展開することができるのです。
よって、地域社会におけるJCの役割は明確です。社会をより良くするリーダーを輩出し続ける好循環を生み出すことです。そのためには会員拡大が必要不可欠となります。
しかしながら、会員拡大は、単に数ばかりを求めるのではなく、質に重点を置いた拡大手法が鍵となります。これは、JCの理念に共感し、何らかの目的を持って入会することで、JC運動の推進力となり得る人財を迎え入れることを意味します。
さらに、会員拡大を持続可能にする重要な要素があります。それは、全会員が拡大に対して当事者意識を持つことです。会員一人ひとりが、なぜ会員拡大が必要なのか、そしてJCの使命が地域社会にどのような影響を与えるのかを深く理解し、共感することで、拡大活動に積極的に関わる姿勢が育まれます。このように全会員が同じ思想を持ち、行動することで、持続的に質の高い人財の発掘が可能となります。
また、組織の多様性を促進することも、次代のリーダーを見出すうえで重要な要素です。異なる考え方を持つ多様な会員が集まることで、JC運動はさらに拡がりをみせ、地域社会に新たな価値を創造する力となります。
例えば、女性や外国人など、多様な背景を持つ人財を迎え入れ、共通の目的に向かって協力することで、組織は新たな視点を得て、社会問題に対してより多角的にアプローチすることができるのです。
このように組織全体で会員拡大の意識を強く持ち、理念に共感した多様性あふれる人財を発掘し、成長を支援する「ブランディング拡大」を確立することで、社会から必要とされるリーダーを生み出し続け、社会の発展に貢献していくのです。私たちは、会員拡大を軸にJC運動を最大化する好循環を構築し、明るい未来への道を拓いていきます。
組織力を最大化する人財育成
現代社会において、組織が発展し続け、必要とされ続けるためには、「組織力の最大化」が必要不可欠です。現代社会のニーズに応じた貢献と持続可能な発展に向け、全会員が共通の目的を持ち、組織全体として力を発揮することが求められます。
そして、組織力を強化する上で、JCの理念に基づいた運動論、組織論、リーダー論を学び、その理解を深めることが重要です。これにより、会員一人ひとりの行動に一貫性が生まれ、組織全体の結束力を強めることができます。
さらに、多様性を尊重し、会員一人ひとりがそれぞれの強みを発揮できる環境を整えることも組織の発展において重要な要素です。異なる視点や経験を持つ会員が互いに影響し合うことで、新しい価値が生まれ、次代に向けた成長を促進します。全会員が明確な目的を持ち、自己成長を追求することで、組織全体の発展に貢献し、新たなリーダーシップや社会貢献の力が生まれるのです。
また、持続可能な運動を構築するためには、地域資源や文化を経済的価値に転換し、地域全体の発展に繋げる視点が必要です。地域の強みを活かして経済的に自立したまちづくりを進め、マネタイズの方法を学ぶことで、地域社会の持続的な成長を支える基盤が構築されます
会員と組織の成長を考えた人財育成を通して、組織力を最大化し、さらなる地域の発展に繋げる未来への道を拓いていきます。
新たな価値を最大化する人財開発
新たな大切な仲間を迎え入れた際に、組織として重要な行動は、「理念」と「実践」についての理解を促進し、いち早く行動に移せる環境を整え、JCの価値と自分自身の価値に気付いてもらうことです。
「理念」は、JCが掲げる社会貢献を実施するうえでの根本的な信念や価値観を指し、会員が共通の目標に向かって行動するための指針となります。この理念を共有することで、新たな会員は単なる参加者ではなく、JCの活動を通じて地域社会に貢献しようとする強い目的意識を持てるようになります。
一方で、「実践」は、理念に基づいて具体的な行動を通じ、社会に貢献しながら自己成長を遂げることを指します。新しい会員がリーダーシップや問題解決能力を磨き、強みを発揮しながら弱みを克服することで、個人としても組織としても成長することが可能になるのです。
また、実践と同時に組織内での助言やフィードバックの仕組みを整備することも重要です。役職者や委員会を中心に、会員が活動を通じて得た経験をフィードバックによって共有し、個々の成長を促進する環境を構築します。この仕組みにより、会員は自己の成長を実感し、効率良く次なる挑戦に進んでいくことが可能になるのです。
さらに、メンター制度を引き続き活用し、新入会員が安心してJC活動に取り組めるよう、経験豊富な会員が新入会員を支援する体制を強化します。これにより、新入会員がJCの理念や活動の意義を深く理解し、成長する機会を最大限にいかすことができます。組織全体が一丸となって連携し、会員一人ひとりの価値を最大化することで、JC運動の効果をさらに高め、私たちが目指す未来への道を拓いていきます。
地域を明るく照らすシビックプライドの醸成
地域を明るく照らすシビックプライドの醸成
地域社会の未来を明るくし、持続可能な発展を実現するためには、住民一人ひとりがまちに誇りを持ち、まちづくりに主体的に関わることが必要不可欠です。
私たちは、地域に対する愛着と責任感を育む「シビックプライド」を醸成し、地域全体が共に成長する活力ある社会を目指しています。住民が自らのまちに誇りを持ち、まちづくりに対する当事者意識を次代に引き継ぐ文化を築くことが、私たちの役割です。
シビックプライドの醸成において、「地域コミュニティの活性化」と「住民参加型のまちづくり」が最も重要な要素です。
第二次世界大戦中、イタリアのローマは「開かれた都市」として宣言され、戦闘を回避することで、都市全体を戦争の破壊から守り、ローマの文化財や歴史的建造物、そして市民の生命や財産が保護されました。人々が自らの都市を守る姿勢が、地域への誇りと結束力を一層強固にし、ローマの歴史的遺産を次代に引き継ぐための重要な要素となったのです。
このように、住民が地域の資産を守り、未来の発展に向けた行動を取ることで、地域コミュニティが活性化し地域全体の結束力が強まります。私たちは、防災活動や地域事業を通じて、住民同士が協力し、信頼を深め、地域の未来に向けた新しい価値を創造する場を提供していきます。
さらに、住民参加型のまちづくりを推進し、地域の未来を住民自身が直接形作る機会を創り出すことで、地域の発展に対する自覚と責任感が住民の心に浸透していきます。これによって、地域全体の結束力が強まり、次代に誇れる持続可能な社会を築くことができるのです。住民一人ひとりが、まちを想い、協同する社会を目指して、私たちは未来への道を拓いていきます。
未来を創るリーダー育成
貧困や教育機会の不平等、そして技術革新がもたらす社会構造の急速な変化に直面する現代社会において、次代を担う若者は、これらの課題を解決するために、包摂的で持続可能な未来を築いていくリーダーシップ力を養う必要があります。
青少年がリーダーシップを学ぶことは、次代の社会貢献者を育てることに繋がります。彼らが主体的に行動し、他者を導く力を身につけることで、地域社会やグローバルな場で活躍する人財として成長していくのです。私たちは、青少年が自己の強みを理解し、他者と協力しながらリーダーシップを発揮できる環境を整備していくことに注力していきます。
リーダーシップには、自己認識と効果的なコミュニケーションが欠かせません。まずは、青少年が自身の価値観や強みをしっかり理解し、他者と明確に対話する力をつけることが重要です。それによって、信頼と協力の土台が築かれていきます。また、チームワークや協働の力を高め、変化に対して柔軟に対応できる能力を育むこともリーダーシップにおける大切な要素です。
さらに、政治や社会問題に積極的に関わり、地域の課題解決に主体的に取り組める環境を整えることで、青少年は自身の考えや意見を持ち、チームや社会の中で積極的に役割を果たす力を持ちます。
リーダーシップを学ぶことは、人生に大きな影響を与える土台を築くことです。私たちが責任を持ち、次代のリーダーが持続可能な社会を築けるよう未来への道を拓いていきます。
地域ブランドをいかす広報活動
多くの人々の共感を得て活動を広げるためには、JCが効果的なブランディングと情報発信を通じて、地域社会に信頼される存在となることが必要不可欠です。地域の発展を見据え、持続的な影響を与える組織としての認知を高めることが、幅広い支持を集めるための重要な要素となります。特に、地域の魅力や強みを外部に発信する広報活動は、住民の誇りや愛着を育むことに繋がり、地域の価値を高めるうえでの重要な役割を果たします。
しかしながら、外部への発信だけでは十分ではなく、インナーブランディングの強化も同様に重要です。組織内部で地域の価値がしっかりと共有され、共感が生まれることで、発信するメッセージに一貫性が生まれます。これにより、外部への情報発信がさらに効果的となり、地域の発展を見据え、持続的な影響を与える組織としての認知を高めることができるのです。
また、インナーブランディングが強化されると、会員が組織に対して愛着を持ち、より積極的に活動に参加するため、JC活動の効果が向上し、外部にポジティブな影響を与えられるようになります。
インナーブランディングが強固であればあるほど、アウターブランディングも向上し、組織全体の影響力が強まります。外部にSNSやホームページを通じ、地域の文化や歴史、自然の魅力を広く発信するうえでの影響力が向上していくのです。
効果的なブランディングと質の高い情報発信を通じて、地域社会からの信頼を強固にし、地域の価値を高める存在として重要な役割を果たすことで、私たちが目指す未来への道を拓いていきます。
未来に繋げる自己成長の機会
私たちは、地域社会に貢献し、未来を築くリーダーを育成することを使命としています。自己成長の機会を提供することは、リーダーとしての資質を高め、地域社会をより豊かにするために必要不可欠なものです。
私たちが目指す明るい豊かな社会を実現するためには、会員が自らの強みを最大限に発揮し、地域や国際社会に対して積極的に貢献できる力を養う必要があります。
そのため、私たちには様々な成長の場が提供され、会員が自己の能力を磨く環境が整備されています。例えば、国内外で開催される大会への参加を通じて、異なる文化背景や職種、専門分野を持つ人々と接することで、新たな知識やスキルを学ぶ機会が増え、結果として、視野が広がり、柔軟な思考力や問題解決能力が養われます。
昨年から始まった姉妹JCとの国際交流では、異なる文化や背景を持つ会員との深い交流が可能となり、国際的な視野を広げる多くの学びが得られます。
多様な価値観や視点を理解することで、異文化コミュニケーション能力が向上し、柔軟な問題解決力が養われるため、新しいアプローチで課題に取り組む力が身につきます。
また、国際的なネットワークを構築し、信頼関係を築くことで、JCだけでなく地域間の協力関係にも発展する可能性を秘めた貴重な交流となります。
さらに、出向の機会を通じて、他地域の会員と共通の目的意識を持って活動することは、国際交流と同様に様々な学びや成長の機会をもたらします。地域の異なる会員が集まった場での運動構築においては、特にリーダーシップやチームワークの重要性を実感し、効果的なコミュニケーションや意思決定のスキルを得ることができます。そして、出向先で得た学びを組織に反映することで、他の会員や組織の成長を促進し、出向の価値を高める好循環を生み出すことができます。
多くの成長の機会に恵まれた環境で活動する私たちは、個々の成長だけを考えるのではなく、これらの機会を基盤に組織と地域を発展させ、国際社会との懸け橋となる未来への道を拓いていきます。
運動を生み出し続ける内部装置
持続的に地域社会へ貢献するためには、生産性が高まる組織の運営体制が必要不可欠です。特に、JCの目的である地域課題の解決を効果的に推進するうえでは、JC運動の全ての根幹にある会議の質を向上させ、合意形成が図れる場を創り出す必要があります。
生産性の高い会議を実現するためには、まず、内部統制を整備し、会員が安心して意見交換ができる場を設けることが重要です。そのためには、明確なルールの設定と事前準備の徹底が必要となります。これにより、透明性のある効率的な会議運営が実現し、会員が積極的に参加しやすい環境が整備され、質の高い議論を交わす場を提供することができます。さらに、デジタルツールを活用し、情報共有や意思決定の迅速化を図り、会議運営をさらに効率化していきます。
JCの会議は、単なる形式的なものではなく、会員が成長するための場であり、地域社会の課題解決に向けた実効性のある運動を生み出すための重要な機会です。各会議での決定をもとに、リーダーシップの育成と運動の効果を最大化し、組織全体の成長を促進しなければなりません。
単年度制の特性を活かし、柔軟に組織改革を進めながら、常に進化し続ける体制を整えていきます。会員が成長できる環境を整え、運動を生み出し続ける内部装置を機能させることで、組織が成長し、地域社会を発展へと導く未来への道を拓いていきます。
結びに
これらを「行動」に移すのは私たちです。
どれだけの時間をかけて考えても、誰よりも想いがあっても、あふれるほどの愛があっても、行動に移さなければ、何かを変えることはできません。
行動が全てです。しかしながら、単なる行動者に留まってはいけません。 人々に影響を与え、意識と行動を変える、リーダーにならなければならないのです。
先代から受け継いできた私たちの夢、明るい豊かな社会の実現を目指して。
歴史を紡ぎ、未来への道を拓こう。
今こそ、今だからこそ、「RESTART」だ。